日本語ではどちらも「仕事」と訳される英単語に “job” と “work” があります。
この二つの単語ですが、意味は似ていても使い方は結構違います。
“job” と “work”は、意味が少し違う点に加えて、“job” は可算名詞、 “work”は不可算名詞と文法的にも使い方が異なります。
もう少し正確に言うと、この二つは意味が違からこそ文法的な種類も異なると理解した方が良いかもしれません。
ここでは、英語の上達にとても重要なテーマのひとつ、「可算名詞」と「不可算名詞」の区別の仕方について、分かりやすく解説します。
なぜ区別が必要か
日本語では「冠詞」がありません。そのため、多くの日本人が冠詞をうまく使いこなせません。
冠詞が使えるようになる基礎のひとつとして、名詞が「可算名詞」なのか、それとも「不可算名詞」なのかをまず知る必要があります。
しかし、単語をひとつ覚える際に、可算名詞か不可算名詞かなど、いちいち深く理解してから覚えている人はあまりいないのではないでしょうか。
そこで、以下では、”job” と “work”のような具体例とともに、似たような言葉でも「可算名詞」と「不可算名詞」で使い方が異なる点を紹介します。
可算名詞とは
可算名詞とは、ひとつ、ふたつ、みっつ、というように数えることができる名詞です。
例えば、
- 実態があるもの:りんご、車
- 場所:駅、空港、ビーチ
- 実態がないもの:歌、題、概念
など、日本語でも単位をつけて数えられるものは、可算名詞がほとんどです。
可算名詞と冠詞
可算名詞を使う場合、ひとつ重要な規則があります。
それは
単数の可算名詞には、必ず「冠詞」が必要
という点です。
例えば、「歌」”song” は、1曲、2曲と数えられますので、単数ならば必ず冠詞とともに使わなければなりません。つまり、
- a song
- the song
という使い方しかしないのです。
冠詞を使わないのであれば、必ず複数になります。
- songs
例文:
I like the song!
私はその歌が好きだ。
不可算名詞
不可算名詞とは、ひとつ、ふたつ、みっつ、というように数えられない名詞です。
例えば、
- 実態があるもの:米、水、砂、お金、食品、電気、空気
- 実態がないもの:音楽、運、平和、根気、情報
などです。
不可算名詞の規則
不可算名詞には、冠詞をつけません。また、複数形はありません。そのため、
不可算名詞には、冠詞をつけない
と覚えましょう。例えば、
I like music.
私は音楽が好きだ。
などです。
ここまでは、基本の基本です。
可算名詞を単数で使う場合には、必ず冠詞をつけると頭に叩き込みましょう。
例外
音楽を意味する “music” は不可算名詞なので 冠詞をつけてはいけません。
しかし、例外があります。例えば、
to face the music
自分の失敗に対して、周囲からの批判や罪の追求に対処すること
があります。
この場合、”music” には “the” という冠詞をつけなければ意味が通りません。
ではなぜ、”the”がつくのでしょうか?
その理由は “music” が「音楽」と言う一般的な意味ではなくなり、「自分の失敗に対する、周囲からの批判や罪の追求」と全く異なった意味で使われているからです。
「周囲からの批判」を「音楽」と例えて使われ、この「音楽」はある特定の事象を意味しています。
特定の事象を指しているからこそ、定冠詞である “the” が必要なのです。
似た言葉で異なる
上の「歌 song」と「音楽 music」の例で見たように、似たようなカテゴリーの単語で「可算名詞」と「不可算名詞」の違いは、意味の違いに由来することを理解していただけただしょうか。
このような言葉のペアは、実はたくさんあります。
このペアの区別ができるようになると、あなたも上級者の仲間入りです。
それでは、同じことを “job” と “work” にも当てはめてみましょう。
“job” と “work”の違い
“job”は可算名詞で、単数形では必ず冠詞とともに使います。
一方、”work”は不可算名詞で、複数形もなく、冠詞をつけません。
例えば、“work” は不可算名詞なので、”I have a work to do.” のように冠詞をつけてはいけません。
なぜでしょう?
それは、 ”job” と “work” の意味は完全に同じではないからです。
job の意味と使い方
“job” は、「報酬を得ている仕事」を意味します。
もし、あなたがいくつかの仕事をしていて、2カ所から報酬をもらっているならば、
I have two jobs.
私には、仕事がふたつある。
と言います。”job” はひとつ、ふたつと数えられる可算名詞なのです。
したがって、“job”を単数形で使うときには、必ず冠詞が必要となります。
work の意味と使い方
“work” は「体力や頭など、労力を使って何かをなすこと」を意味します。
労働量はひとつふたつとは数えられません。
そのため、 “work” は不可算名詞なのです。例えば、
I have work to do.
私にはやらなければなrない仕事がある。
と、無冠詞で使います。
単に “work”と言った時、それがどういう仕事かは実ははっきりしません。そのため、通常は文脈から判断します。
学生さんならば勉強、会社員ならば会社の仕事がありそうです。それ以外にも、会社の仕事とは全く関係ない、他のなんらかの労働かもしれません。
例外
上で見たように、”work”は通常は無冠詞で使いますが、”a” や “the” などの冠詞と使うことがあります。
この場合、”work”は、ひとつふたつと数えられる可算名詞となり、通常の「仕事」とは異なる意味で使われます。
可算名詞の “work” は、「作品や著作」と、意味が変化するのです。
意味の変化
このように、’music’ や ‘work’ のように 通常は不可算名詞で用いられる名詞であっても、可算名詞として用いられることが多くあります。
この場合、オリジナルの意味とは変化していると考えてください。
まとめ
ここでは、「仕事」を意味する二つの英単語、”job” と “work”のペアや、「音楽」を意味する “song” と “music” のペアを例として、冠詞との関係で、可算名詞と不可算名詞の使い方の違いを説明しました。
このようなペアは他にもあるので、これらを覚えておくと、実際に使える英文法として便利です。
練習問題
それでは、上のことが頭に入ったが、少し練習をしてみましょう。
下線部には、冠詞の “a” が入るか入らないでしょうか?
(※所有格は冠詞 “the” と同じ働きがあることに注意してください。)
- She is at ____ work.
- I am looking for ____ job.
- I am looking for ____ work.
- I am planning to return to ____ work once I get better.
- I go to ____ work at 8 o’clock.
- Taking care of a baby is ____ hard work.
- This statue is ____ beautiful work by a new student.
- Sorting these papers out is going to be ___ long job.
答え
- She is at – work. (彼女は仕事中だ。)
- I am looking for a job. (私は仕事を探している。)
- I am looking for – work. (私は仕事を探している。)
- I am planning to return to – work once I get better. (私は元気になったら仕事に戻る計画をしている。)
- I go to – work at 8 o’clock. (私は8時に仕事にいきます。)
- Taking care of a baby is a hard work. (子育ては大変な仕事だ)
- This statue is a beautiful work by a new student.
- Sorting these papers out is going to be a long job. (これらの紙の仕分けは長い仕事になる。)